２４日の本日、彼氏居ない暦実年齢から脱したあの娘が結婚した。
わたしは彼女に招待され式場へ行った。
ウェデングドレスを着て旦那と並んでるあの娘。
ほんまに嫁にいってしもたんやな。
めっちゃ感慨深い。
うちらの年で、まして学校在学中に嫁に行っちゃうなんて、
「ちょっとあんた大丈夫？」なんて思ってしまうけど、うらやましくもある。
披露宴が終わってその帰り、うちは一人きり。
二次会もあるいうてたけど、
ドレスからシックなワンピースに着替えた真由美に声かけてから退散してきた。
みんなとわいわいするのもええとは思うよ。
でも、そんな気になれなくってね。
第一、真由美のバイト仲間とか、旦那さんの友人たちとか、集まるみたいやったけど、
知らん人ばっかりやし。
気い使うしなあ。
わたしって、こう見えても繊細？ って違うか。
結婚式の二次会で知り合った男女が仲良くなるっていうシチュエーションもあるんやろうけど、
まあ、めんどう？
めんどういうたらサークル。
T女子とのぎくしゃくは続いている。
大学通しはうちらがサークル入る以前から交流あったので、無碍にはできない関係らしく、
合同の写生会とかボーリング大会とか（美術に全然関係ないイベントやけど）誘ってくれる。
そうしてくれる辺りは大人やな思うけど、やっぱりわだかまりある。
まあ、先輩引退して、引っ張るのうちら３回やったからそれなりに協力はしたけど。
うちも大人やなと、しみじみ。
S大の方との関係は微妙？
篠崎さんと彼女はくっついたり離れたり繰り返してる。
もう勝手にし、って思ってクールに見てる。
他の部員の子は何人かが、うちのこと観察てるみたいやけど、放置してる。
男やろ、言いたいことあるんやったら言えって感じ？
ふと思うときある。
T女子の森山さんが篠崎さんにやったこと、彼女の引き離す工作したのもありかもって。
自分の好みの男、いいなって思う男が彼女持ちって結構ある。
というかいいなって思う男ってたいがい彼女持ちやな思うし。
フリーやったら問題なくアタックできるけど彼女がいるからダメっていうのもなあ。
好きっていう気持ちは止まらんもんやと思うから。
好きやからこそ罠に嵌めてでも男を奪う。
めっちゃ情熱あるんやない？ それ。
でも、わたしの前でそれされたら、やっぱり邪魔してしまうやろうな。
どうしても許されへんねん。
変な正義感に固まってると言っちゃえばそれまでだけど。
そのサークルもこの春の部展終わったら引退。
めんどうなこともその時まで。
わたしは今も彼氏いない暦イコール実年齢更新中。
彼氏持ち、旦那もち、うらやましいと思うよ。
でも以前よりは焦ってないかも。
それよりもなによりも自分を磨いて、どこから見ても非の打ち所のない、
いい女になるんが目標。
そしたらこっちからアプローチせんでもよりどりみどり、めくるめく逆ハーレムも間違いなし？
って甘いかなあ。
逆ハーレムは言いすぎやけど、いつかは愛し愛される人に出会いたいと思う。
携帯出して時間確認。
５時半回ったんや。
外はすっかり夜。さすが１２月、暮れるの早い。
こうして道歩いてるとクリスマスなんやって実感する。
繁華街の個々の店に煌く電飾、クリスマスソングが聞こえてきて。
街路樹も電飾でクリスマス仕様。
ここぞとばかりのきらきら感に、エコいう割りに資源喰うてるやないの？
って突っ込んだのは内緒。
そう思いながら歩いていると、後ろから肩をぽんぽんと叩かれた。
振り向くと、サンタの格好をしたお兄さん。
その顔にどこか見覚えがあった。
「えっと、どちらさん？」
見覚えはあっても名前は出てこない。
「ほら、かかし亭で、まいど。やっぱりあの時のお客さんだ。」
ああ、アイスやらクッキーやらサービスしてた店員さんや。
わたしは納得した。名前出てこなくて当たり前、元から知らんのやし。
「今日はかかし亭のバイト休み？」
「うん、それで突発にティッシュ配りのバイト中、それももう終わるけど。」
「そうなん、じゃあ、がんばって？」
そう言って去ろうとしたわたしを店員さんが引きとめた。
「お客さん、今日はこの後予定ある、後１０分出られる思うから、ご飯一緒にどう？」
砕けた口調だけれど、目は真剣そのものや。
わたしは少し考えてから「いいで。」と返事した。
かかし亭で少し見知った店員さんと食事行くっていうのは軽い女かな。
でも、何も始まらない気もするし、何かが始まる予感もするねん。
「ねえ、名前教えてくれる？」
「俺は佐竹慎司。お客さんは？」
「うちの名前はね、野口沙織いうねん。」 （終）
