クリスマスなんてきらいや


「クリスマス前までには、彼氏ゲットしなきゃ、寂しいやん。」

わたしは学食でハンバーグを口にする。

「あのさ、クリスマス意識して彼氏作らんでも・・・。」

真由美が冷めたように言った。

ああ、まったくこの子ってば、わかってない。

そんなん言ってたら、あっという間にからからの干物化するよ?

ただいま大学2回生の20歳。

彼氏いない暦、実年齢を驀進中。

って、いばって言えることではないけれど。

う〜ん、なんでだろう。

わたしは、特別かわいいわけじゃないけれど、

それなりに、きれいにはしてるからそこそこと思うのはうぬぼれすぎ?

まったく男に縁がないっていう訳でもない。

入ってる美術サークルだって、他大学と交流あるし、

コンパも合同合宿もある。

でも、これといって仲良くなる人、いないんだよね。

いいなと、思ったら彼女がすでにいたり・・・。

でも誰が誰とつきあってるっていう情報だけはしっかり入ってきて。

彼氏いない暦実年齢は、わたしとこの目の前の女、真由美くらいなもの。

「なんにしてもわたしには関係ないよ、24日、25日ともバイト入ってるし。」

「・・・真由美は相変わらずなんだね。」

ほんとにこの女は・・・。

このマイペース、ある意味うらやましい・・・。

いやいや。

今度こそ彼氏いない暦実年齢から脱出しなければ。

クリスマスなんてのは、ひとつのきっかけよ。

わたしが欲しいのは、クリスマスだけの相手じゃない。

それからもずっといっしょにいてくれる大切な人なんだから。


サークルのフリーな友達も思いはいっしょなようで。

クリスマスにフリーな子同士でコンパ開かれることになった。

わたしはもちろん参加。

他大学と合同だから、もう盛り上がるのも必然でしょう?

ひそかに、ちょっといいなと思ってた、S大の篠崎さんも来ると聞いたし。

彼に会えるっていうだけでも、うれしい。

彼女と別れたそうでフリーだし。

でも篠崎さん、人気あるからなあ。



そんなこんなでクリスマス・イブのコンパ当日・・・。

わたしは盛大にため息つきつつビールを煽る。

もう、なんでこんなことになったんだろう。

勇んでいったら何? 

インフルエンザが蔓延していたようで欠席者がぞろぞろ。

もうこのくそウィルス、、サークルの人間狙い打ってたとしか思えない。

S大の篠崎さん・・・、もやられてたのね。

いっそ学校閉鎖した方がよくない?

わたしを含めた元気組は3人、全員女。

ある意味盛り上がらないわ、これは。

ううん、ほんとは察してるんだ。

本物のインフルエンザに罹ってる人、少ないってこと。

わたしの情報網を、舐めてちゃいけないよ。

篠崎さんは元カノと寄りを戻したって聞いた・・・。

「クリスマス限定の特別サービスです、どうぞ。」

赤いはっぴを来た居酒屋の店員さんが、デザートにバニラアイスを持ってきた。

「ありがとうございます。」

「いえいえ、どうぞご贔屓に。」

店員さんがにっこりと微笑む。

年は20歳はすぎてるよね、でも、人懐っこい笑顔だな。

さっそくアイスを口にする。

口の中ですっと溶けていく。

アイスの冷たさがほんのりと切ない。

その後は何事もなく、家に帰ったのだけれど、翌日・・・。



喉がガラガラ。

節々の間接がひどく痛む。

熱を測ると38度代。

「・・・まじでインフルエンザ?」



もう、クリスマスはきらいや。(終)



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